防水工事の豆知識

地下鉄の緊急止水

最近の地下鉄はどんどん深いところまで掘り下げてつくることから、水圧の高いところを突き抜けることになる。意外と良く見ると天井からぽたぽたと滴が落ちてしまうことから、忘れ物のビニール傘をひっくり返して天井に緊急固定して水を集めてチューブで逃がしたり、ビニールをガムテープで貼って水を壁側に寄せるなどの工夫をしている。

日本の土木技術を持ってすれば完璧に水を止めてしまうことできるのではないかと、通勤途中に思う方も多いのではないか。地下鉄工事のやり方は駅舎と電車の通りトンネルとは根本的に工法が異なる。トンネル部分はシールド工法というやり方で行われている。

シールド工法とは、地盤中にトンネルを構築する工法で、「シールドマシン」と呼ばれるトンネル掘削機を地中に掘進させ、土砂の崩壊を防ぎながらその内部で安全に掘削作業、覆工作業を行いトンネルを構築していく工法である。シールドマシンは外径約5mを分割して駅の開削工事基地へ搬入する。坑内で再度組み立て,土留め壁として使用していた支保工と呼ばれるH形鋼材を撤去する作業を行い発進する。シールドマシンで掘った後にはセグメントよばれるブロックを組み立ててトンネルを造っていく。セグメントは、コンクリート製のものと鋼製のものがあり、ひとつの断面を5~6分割してこれを組み立てて円形に仕上げていく。

セグメントには、組み立てた後に地下水がトンネル内に流入しないよう、各ブロックの接着面には防水としてシール材を施す。

一方駅舎の部分は開削工法と呼ばれる工法で掘削していく。地面の土を掘り返し、構築物を建設した後に埋めなおすという工法である。工事費が安く工期が短いのが特長で、1980年代まで世界各地の地下構造物の建設工法として主流であった。地面を開削することに起因する制約も多く、地面から深い場所や、路線の上に建造物や河川などがある場合は使えない。また道路上を開削するため道路交通の障害になるという問題もあるが、交通量の多い時間帯には工事を止め、開削した穴を一時的に復工板(鉄板)で覆って上部を通行可能とすることである程度緩和することができる。

このように地下の構造物は異なる工法で建設していき地中での振動,歪みというのは事のほど大きく、簡単に緩和吸収できるものではない。屋上防水のように完全な防水を作るのは不可能に近い。また,地下水の水圧というのは想像を超えてコンクリート中を突き進んで染み出してくる。そこで,地下では水を防ぐというのではなく,水が染み出してきたら逃がしてやるという考え方をとっている。2005年に開通したつくばエクスプレスの秋葉原駅や浅草駅では,ステンレスの樋を2~3キロに渡って設置している。問題は駅構内を縦横にめぐらせた樋に勾配を付けていく作業であるという。しかし,いざ地下水が漏れ出すと駅舎の幅は約15m,大きいところで25m程度もあるので券売機や改札の横で漏水するとガードマンを配置し乗降客や機械に影響の出ないように水を避けているというのが現状である。

そこで大量に漏れ出す水を止めなくてはこのように影響が出てしまうわけで,止水をしなくてならなくなる。

止水の方法は壁に注入口を開け注入ポンプでウレタン樹脂を注入する。ウレタン樹脂は水と接触すると固結反応を起こす。注入した樹脂は、水に溶けないため、地下水に混ざり合うことはないが,水と接触した部分から固結反応が始まり、炭酸ガスを発生して浸透を進めながら固まり,注入した量の数倍の固結体が得られる。この原理で水を止めていく。固結体は、ウレタン樹脂特有の強い接着力により、土粒子が相互に強く接着し、止水性の高い高強度な固結体を形成することになる。

私どもダイフレックスで土木事業を専門に扱うレジテクト事業部では、防水や防食工事を中心として製品を取り扱っており、止水材料もそれらと併せて取り扱っている。昨今では、上記例のように新規工事ではなくメンテナンスで漏水を防ぐ方法を求められる声があることから、より良い注入剤の開発や注入方法の確立は、今後とも開発課題と言えるだろう。

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HACCPの防水

これはレストランや食品工場の床が対象になる。
大きなフライヤーと呼ばれる鍋や調理機器がずらりと並ぶ食品加工工場では、床をウェットでするかドライでするか大きな問題となる。HACCPという食品安全のための世界的スタンダードに沿うと、床水洗いするか、床は拭いてきれいにすることで防水の手法と内容は異なる。

厨房や食品工場で使われる床材の要求性能は屋上防水材とは異なり、耐熱性や耐薬品性・耐衝撃性などが要求される。通常はエポキシ系樹脂やビニルエステル樹脂・MMA樹脂・硬質ウレタン樹脂などが多く用いられる。これらの樹脂は概ね硬く伸びがあまりないのが特徴で、屋上やベランダで使用するウレタン防水材とは異なる。屋上防水で使用するウレタン防水材は600%の伸び率を有するのに対し、床で使用する硬質ウレタンは30%の伸び率しか持たない。

また、食品を扱う場所なので常に清潔に清潔に保っていなければならないのと同時に水を使う場所なので表面が滑りにくくならなければならない。この二つの性能は相反するもので、防滑性を高めるためには骨材(硅砂など)を施工時に散布し、表面に凹凸をつけるが、この凹凸があるがために汚れが溜まりやすく清掃が困難になる。逆に清掃をしやすくするために表面をフラットにすると今度は滑りやすくなってしまう。どこで妥協点見つけるか非常に難しい問題である。最近の傾向としては床は清掃しやすいよう平滑に仕上げ、長靴を滑らないようなものにする方向になっているようである。

さらにもっと難しいのは改修工事である。食品工場や厨房の床は過酷な条件で使われるため劣化が進む。新築時にどんなに高性能な床材を採用しても経年劣化は進んでいく。下地コンクリートのクラック、床材の剥がれなどが起きると汚れが溜まり、乳酸・蟻酸の影響でコンクリートの腐食が進んでいく。学校の給食室などは夏休みなどの期間を利用すればよいが、食品工場など営業中の施設の改修はできるだけ短時間で改修をおこなわなければならない。これまでの例で、空港のケータリングルームの改修などは夜の10時に乗り込み、撤去・下地処理・塗り床工事を行い、朝の6時に人が上がれる状態にするという過酷な条件である。

改修工事の場合、下地処理にノウハウが必要なため、かなりの専門的な知識が必要であり、材料の種類も多種多様なため慎重に仕様を選定することが重要となっている。

HACCPではないが、防水を必要とする床としては電算室のOAフロアの下地がある。これは万が一のための防水であり、漏水して電算機の機能がストップした際の多大な損失を防ぐための保険のようなものである。最近ではシックハウスやシックオフィスの問題もあり、環境対応型・無溶剤型の防水材が採用されるケースが増えている。

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トップコートの色

近年、色彩は注目を集めている。カラーコーディネーターなどの色彩に関する資格も人気が高く、様々な方面において、色彩の影響力が見直されている。
例えば、スポーツでは、赤などのカラフルなユニフォームの方が選手のモチベーションが上がり、アグレッシブなプレイが出来ると言われている。
また、ケネディ大統領が選挙のテレビ討論会に出演した時、赤いネクタイを締めて登場し大成功したという「赤いネクタイパワー」の話も有名である。赤の持つ情熱的なイメージが、聴衆の目を引き付けて離さなかったのであろう。

このように、色彩から与えられるイメージや心理的影響は大きい。

色彩効果は、建築物や街並みにも大いに取り入れられている。
那須高原では環境に溶け込むようなナチュラル色の看板を推進している。チェーン店のお馴染みの看板も茶系で統一され、落ち着いた自然の風合いをかもし出している。
病院は、白や淡いピンク・水色などの優しい風合いの色を基調にしている所が多く、幼稚園などの子供が主体となる施設ではポップな原色を多用することが多い。

防水で使用されるトップコートの色は、グレーがダントツで多い。(グラフ参照)

 これは、日本の防水材の歴史で最も古いアスファルト防水の流れで「防水=グレー」のイメージが強いことが理由の一つに考えられる。近代建築のコンクリートのイメージを崩さずに防水する考えは、今も昔も変わらないようである。

また、グレーはどんな色にも調和しやすいニュートラルな色であるため、どんな建物に使用しても支障なく馴染み、重宝される色となっている。
グレーに次いで多用されるグリーンも然りである。視覚的にやさしい色は、明度と彩度を下げた色であることは感覚的にも分かっていただけるだろう。しかし、明度と彩度を下げすぎると(黒に近い色になるが)、蓄熱しやすくなり室内環境への影響が大きくなるので、注意すべき点である。
逆に、最近では遮熱型トップコートも好評で、ホワイトやグレーでもライトグレーといった明度の高い色を選ばれる機会が増えてきた。
弊社では日射反射率が一定基準を充たしたものに対して「高反射」と命名している。省エネルギー対策やスクールニューディール対策を考慮して、トップコートの選定まで気にかけるようになってきた背景がうかがえる。

色彩効果が見直される昨今、屋上やベランダの緑化を始めとする有効利用に並行して、トップコートの色にもこだわりを持ってみてはいかがだろうか。
様々なトップコートの材質・色を選択出来ることもウレタン防水の優れた特徴である。
その建物に応じたトップコートをカラーコーディネートしてみると、防水のデザインの可能性が広がるかもしれない・・・

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防水層の厚さはどうやって計測するの?

ウレタンやエポキシ樹脂で塗り床を仕上げたときに、仕上がってからでは膜厚を計ることは破らない限り正確にはわからない。
ダイフレックスでお勧めしている方法は渦電流を使用した塗膜厚測定器(写真1)で、これにより破ることなく測定することが可能であるため、近年では特に、品質管理が問われるようになってこのシステムをご採用いただくケースが増えてきている。


 実際に膜厚を測定する方法では、針入式の膜厚計を利用されるケースが多い(写真2)。 この方法は、針が下地に届くまでの幅を厚みとして計測するため、ウレタン防水材のように針が下地まで刺さる素材でないと計測できない。
元々一針式のものが多かったが、このタイプは角度によるブレが大きく、三針式が主流となっているが、どちらにしても針により防水層を傷つけることに変わりはない。

また、実際切り取って厚みをノギス等で測る方法もある。(写真3)
この方法は確実に厚みを計ることができる反面、防水に関しては防水層を破壊することになってしまうため、敬遠されることが多い。 特にウレタン防水のようなシームレス(継ぎ目の無い)防水層がウリの材料にはお勧めできない方法である。
しかしこの方法のモデルとして行われているのが、本番と同じようにサンプル下地に施工した材料を剥し計測する方法である。 土木分野の工事においてはこの方法が取られることもあるようだが、実際に施工されているものを計測するわけではないので、膜厚管理方法として完全とは言えないと考えられる。

現在一般的に行われている測定方法は、材料の使用量を面積換算し、厚みを割り出す方法であるが、これにおいても課題が多い。
ウレタンやエポキシ樹脂などの材料は前述『ウレタン防水』の回で述べた超速硬化ウレタンでもない限り硬化に一定の時間が掛かる。
その間にセルフレベリングといって水平になろうとする力が働くため、仕上がりがキレイになる反面、下地の凸部の厚みが薄くなったり、勾配によって流れ、水下側が厚くなりすぎたりするのである。これでは、規定材料を全て使いきったからといって厚みが確保されているとは言いがたい。
現在は塗る回数を増やすことにより対処せざるを得ないが、やはり完全とは言えないのが現状である。
さらに、使用する樹脂そのものの比重換算が長い間見過ごされてきており、比重が重いほど厚みをつけるために材料を多く使用しなければならず、材料の使用量(重量)だけでなく、比重も換算の上材料使用量を計算する必要がある。

現在防水層の膜厚管理において最も進んでいるのは、文頭で申し上げた渦電流式膜厚計や電子式膜厚計等を使った非破壊式膜厚検査であろう。
下地が金属であればそのまま測定することが可能であるが、膜厚を計るための金属がラミネートされた通気緩衝シートなど様々な製品の改良が進んだため、かなりシビアな品質管理が出来るようになってきた。
全てにおいて使用できるわけではないが、昨今の品質管理手法の見直しによって基準がより厳しくなり、このような管理手法が多くなってくることによって防水機能の信頼性が上がり、塗膜防水にとって追い風となってより多くの採用につながっていくことは、今後間違いないと考えられる。

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ウレタン防水

ウレタンはあらゆる樹脂の中でも接着力が高く経済性の面でも優れている。
但し、下地に水分が多いと密着しない欠点がある。
液状の材料を現場で固めて防水層にすることで簡易に防水できるというメリットがうけて改修工事に多く採用されたことから、新築時に施工された防水の保護コンクリート目地の動きやひび割れに追従しきれず破断に至ることや、表面は乾いていても保護コンクリートの下の防水層に水分が多く、その水分が温度変化により水蒸気として上昇するときに膨れが発生するなどの問題点が見られた時期があった。
その後、補強布を入れるなどウレタン防水の改良は徐々に進んだが、昭和52年に前述の欠点を補う工法が開発されることによりウレタン防水の歴史が大きく変わることになった。その工法は現在の公共建築仕様のX-1としても採用されている通気緩衝シートとウレタンを組み合わせた工法である。
前述にあるような防水を破断させるような動きに対しては緩衝シートが吸収し、膨れを発生させるような水蒸気の上昇はシートに通気層を設け、一定の箇所にエアー抜きを設置し外部に排出させるというものであった。
元来、小面積の改修工事向きであったウレタン防水はこの工法の開発により、新築や大規模な防水改修にも多く採用されるまでになり、現在でも防水改修工事の主流材料になっている。
次に大きくウレタン防水の歴史に影響を与えたのは、超速硬化ウレタンと呼ばれる硬化の非常に早いウレタン防水の開発であった。主剤と硬化剤を攪拌してから約3分程度で硬化してしまうこの材料は、それまでのウレタンのように手作業で施工することが出来ず、専用の吹付け機械によって施工する。
この材料の開発により、今までウレタン防水では施工が困難であった急勾配の屋根や、金属屋根、施工後に1日間上を歩行できないため採用されなかった開放廊下や階段の
防水など飛躍的に施工範囲が広がることになった。現在では、建築のみならず橋梁や蓄熱層、地下防水など土木の分野にも採用されるに至っている。
また、近年では地球環境負荷の低減とコスト低減を目的として、既存の防水層を出来る限り撤去、廃棄しないで施工できるような防水工法が望まれている。
これにもシート防水と同様にウレタンの浮かし張り工法が開発され、改修工事の幅を広げている。さらに、環境配慮という面では、作業者や周辺に配慮した環境配慮型ウレタンが現在注目されている。
防水工事の原因によるシックハウスや臭気苦情などが表面化してくることにより、有機溶剤や有害とされている化学物質を含まないウレタン防水材への要求が高まり、水性化や無溶剤化が急速に進んでいる。

このようにウレタン防水は数々の欠点を克服し、現在の防水分野には無くてはならない存在となっているが、今後の課題として品質管理が挙げられるだろう。ウレタン防水は工場生産され一定の膜の厚みが固定されているシート防水等と違い、施工方法、材料使用量などにより、現場で様々な厚みを形成することができる。
これは逆に施工者のさじ加減一つに防水の性能が左右される可能性があるのである。
品質管理方法についての詳細は後述するが、材料、工法と同様に画期的な改良に期待したい。

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線で防ぐシーリング材

建築用シ-リング材を主成分により区分すると、シリコ-ン系、変成シリコ-ン系、ポリサルファイド系、ポリウレタン系、アクリル系、SBR系プチルゴム系があり、硬化成分形(湿気硬化形と、エマルションおよびラテックスタイプ乾燥硬化形)、2成分形(反応硬化形)に区分される。
鉄筋コンクリ-ト造の打継ぎ目地、クラック誘発目地、サッシ廻り目地で、シ-リング材の表面に仕上げ塗料材を施工する場合は、ポリウレタン系が適しているが、サッシ廻りや石張り、タイル張りの目地で、シ-リング材の表面に仕上げ塗料材を施工しない場合は、2成分形ポリサルファンド系が適している。
プレキャストコンクリ-ト板のカ-テンウォ-ルには、2成分形変成シリコ-ン系が適している。
ALC板でム-ブメントが小さい横張りなどで、シ-リング材の表面塗装が施工されている場合はポリウレタン系、ム-ブメントが大きいスランド工法などで、シ-リング材が露出仕上げの場合は変性シリコ-ンかアクリルウレタンとする。
ガラス廻りはシリコ-ン系を用い、ム-ブメントが小さい場合は1成分系、ム-ブメントが大きい場合やカ-テンウォ-ルでは2成分系形を用いる。
各種目地に充填したシ-リングの問題点として、シ-ルが剥がれてしまう接着破壊、シ-ル自身が疲労して破壊する凝集破壊(疲労破壊)、塗装の変質や目地周囲の汚れなどの汚染がある。
また、打継ぎは、本来望ましくないが、補修工事などでやむを得ず、種々の取合いが生じる場合はシ-リング材の打継ぎの適否表(JASS 8)を目安とする。
例えば、ポリウレタン系が先打ちされている場合、後打ちのシリコ-ン系、変成シリコ-ン系、ポリサルファンド系、アクリルウレタン系は適しているが、シリコ-ン系、変成シリコ-ン系が先打ちの場合、後打ちのポリウレタン系は不適である。

抜粋
建築材料教科書研究会
株式会社彰国社

シリ-ズ建築施工 図解 防水工事
東洋書店

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シート防水誕生の裏側

わが国にシート防水が導入されて40年以上が経過している。導入初期から様々な改良が成され現在にいたっているが、高耐久材料の開発、環境・リサイクルに応える材料の開発などの市場における要求もますます高くなってきている。
シート防水はいわゆる合成高分子ルーフィングシートの総称でありJIS A 6008に記載されている種類は加硫ゴム系、非加硫ゴム系、熱可塑性エラストマー系、塩化ビニル樹脂系、エチレン酢酸ビニル樹脂糸と多種にわたり、施工方法も密着、機械固定式とそれぞれの材料の特性を生かして適材適所に選定され使用されている。
近年では断熱材とシートを組み合わせた金属屋根改修における新規マーケットへの本格参入もシート防水普及の一端を担っていると言える。

シート防水が世の中に初採用された経緯には苦い歴史が絡んでいる。それは国鉄戦後五大事故の一つ「桜木町電車事故」である。
戦後からの復興がほぼ終わり高度経済成長期に入った時に発生したものであり、戦後の急激な輸送量増加対策に追われ、安全対策がおざなりにされていた事も背景にあったとされる。事故の概要は1951年(昭和26年)4月24日京浜線の電車(5両編成1271B列車)が、桜木町駅構内で、碍子交換工事中に誤って切断され垂れ下がっていた架線に接触し、電流の地絡により炎上。死者106人、重傷者92人を出す大惨事となった。
窓は中段を固定した3段構造で脱出不能、駅員が非常用コックの位置を知らなかったため扉も開けることができず、車端の貫通路も内開きの開き戸で、満員の乗客の圧力で開けることができなかったため、乗客は脱出路が全くなく、被害を拡大することとなった。
これをきっかけに採られた対策は三段窓の二段化、妻板貫通路扉の引戸化、非常用ドアコック増設・表示、パンタグラフ及び屋根の絶縁強化の他に車両の難燃化対策として不燃材料が求められた。
大事故から1年後の昭和27年に車両の屋根防水に塩化ビニル樹脂系シートが採用されたのが今日のシート防水の第一歩目であった。
その一歩を踏み出してから今日に至までの市場拡大には目を見張るものがある。2006年度の総出荷数量は1,000万㎡も越えると予想され、これは東京ドーム220個分を
施工したことになる。
今以上に需要を増やす為には機械的固定方式や金属屋根下地耐火屋根断熱防水のより一層の信頼性が求められる。
またここで市場におけるシート防水工法の今後の課題としては、いかに環境対策を取り組んでいけるかが重要なポイントとなってくる。
ウレタン防水メーカーは使用材料全ての無溶剤化による対応が確立している反面、シート防水業界においては施工時、使用量は少ないもののジョイントを液融着させる際に現状においては溶剤系の融着液を使用している。
将来的に溶剤が使用できないような法的な規制が強化されることも考えられる為、リサイクル・廃材処理におけるダイオキシン問題を含め、環境に配慮した事業展開が大いに期待される。

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アスファルト防水

◎“アスファルト”とは?
日常良く耳にするアスファルト(英語)の語源はギリシア語からの外来語であり、「落とさない」という意味を成す。
これは旧約聖書の『創世記』において、バベルの塔の建設に天然アスファルトが接着剤として使われたとされており、「接着する」⇒「落とさない」との意が語源である。

◎“アスファルトの種類”とは?
アスファルトは原油を精製して人工的に得る「石油アスファルト」と、天然の状態で出来た「天然アスファルト」に大別される。これらは瀝青材の1種であり、瀝青とは炭化水素を主成分し二硫化炭素を完全に溶解する有機物質を指す。防水工事業者に“瀝青”のつく社名があるのはこれが理由である。

◎“石油アスファルト”とは?
石油アスファルトとは、原油に含まれている成分の石油精製過程において、最後まで気化せずに残った固体または半固体の物質を指す。
石油の精製とは、原油に含まれる各成分の沸点(液体が気体に状態変化する温度)の差を利用して蒸留するプロセスである。
原油から精製される物質(石油製品)として、LPG(液化石油ガス)・ナフサ・ベンゼン・ガソリン・灯油・軽油が挙げられ、最終的に残るものが重油とアスファルトである。

◎“天然アスファルト”とは?
天然アスファルトは原油の揮発成分がなくなった後の物質であり、天然に産出するものの総称である。我が国では新潟県から秋田県の油田地帯に多く産出される。

◎何故アスファルトが建築防水材に成り得るのか?
アスファルトの原料は原油、つまり“油”である。水と油は合い交わらない特性を活かし、屋根全面をアスファルトで覆うことが出来れば、防水性(=撥水性:水をはじく)を期待する事が出来る為、建築防水材に成り得る事が出来る。

◎アスファルトを“建築防水材”として用いるには?
常温におけるアスファルトの状態は固体である為、その状態では建築防水材として利用出来ない。現場施工を踏まえた場合は、状態が液体である事が前提となる。
アスファルト防水熱工法では、溶融釜を用いてアスファルトを加温して、アスファルトを液体化する。液体となったアスファルトを流しつつルーフィングを貼付ける工程を重ね、サンドイッチ状の層を設ければ“防水層”たるものが形成される。
液体化したアスファルトは材温が融点(固体が液体になる温度)より下がると、その状態は再び固体となる。融点と気温の差は200度以上であるため、屋根に流したアスファルトは直ぐに再固体化され、ルーフィングを連続積層する事が出来る。
つまり、アスファルト防水熱工法は、アスファルトの性質(高温融解)を活かした防水と言えるだろう。
熱工法の課題事項としては、アスファルト溶融時(施工時)に発生する“熱”と“臭気”であり、これらが周辺環境と施工環境に悪影響を及ぼす場合がある。
アスファルト防水メーカーは課題事項を解消する様、技術開発による各種改良を行っている。

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パラペットを攻略する技とは

◎“パラペット”とは?
パラペットとは建物の陸屋根(水平な屋根)・廊下・バルコニーの周囲を取り囲むように設置された、低い立上り壁を指す。他の意として、店舗の屋上や店舗の正面の上方に、主に看板を取り付けるために設置する壁を指すが、先に述べたものにて本文を進める。

◎“パラペットの形状”とは?
パラペットは建物の先端を保護するとともに、建物の意匠面に影響する為に重要視されている部位である。パラペットの形状は大別すると“アゴ付きパラペット”と“アゴなしパラペット”に別けられる。“アゴ”とは“カギ状形状”(右図参照)を指しており、建物に施工される建築防水の種類や、屋根形状等によりその形状が検討される。アゴ付きパラペットの場合、建築防水としてアスファルト防水が施工している事が多い。(⇒その理由についてご興味がある方は、“防水標準納まり図”などをご覧頂きたい。)

◎“パラペットの構成部位”とは?
パラペットとは先に述べたように立上り壁周辺の総称であり、実際は様々な部位から成り立っている。その 代用例として“笠木”が挙げられる。笠木とはパラペットの上部に取り付ける部材を指し、モルタル・金属・木などの材料にてデザインされている。その他の部位としては、外部から確認できる“見付け”“水切り”“押えモルタル”があり、意匠図面の断面図や矩計図から確認出来る“押えレンガ”などが挙げられる。(⇒各部位の詳細については建築用語集等をご覧頂きたい。)

◎パラペットを攻略する技とは?(A:新築工事編)
設計時にてパラペットの形状を検討する際には、当該部位における建築防水材種別の影響が大きい。それに加え、パラペットを設置する部位の利用用途(歩行用・非歩行
用)も影響を及ぼす。例えば、屋根形状が陸屋根であり不特定多数の方々が使用する場合、パラペットの形状に対して防水層を保護する役目と建物利用者の安全性を踏まえ
る事が要求される。一般例からすると、建築防水の種類としては“保護アスファルト防水”が候補として挙げられ、パラペットの形状としては“アゴ付きパラペット”となる。
◎パラペットを攻略する技とは?(B:改修工事編)
本項のテーマである攻略法として最もノウハウを要求されるのが、建物の各種改修工事における“防水改修工事”についてである。パラペットの形状や諸条件が建物によって様々であるため、現況に沿ったノウハウの適用がポイントとなる。パラペット形状、笠木種別、立上り(みずかみ水上・みずしも水下部の高さ)、アゴ形状(出幅)などを踏まえ、新規防水層を施工しやすい(納まりが良い)下処理が必要となる。要約すると『防水層の連続性を持たせる為にどのような処理を行うか』がテーマであり、様々な攻略法が用意されている。概要として、アゴの段差を埋める方法や、各種形状に対応出来る専用部材が挙げられる。

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巨大スタジアム

紀元前14世紀、ギリシャ・ミケナイにおける「アトレウスの宝庫(スパン146m、組構造)」がド-ム建築の起源と言われ、日本では、1998年大規模ド-ムとして、東京ド-ム(スパン201m、空気膜構造)が建設された。ド-ム建築の構造形式には、さまざまなものがあり、主なものに組構造、鉄筋コンクリ-ト造、鉄骨造、空気膜構造、木造(集成材)、ケ-ブル構造などがある。

◎組構造
古代エジプト、ギリシャ等で、身近に手に入れやすかった石や煉瓦の圧縮力だけが強い事を有効に活かして大空間を造ろうと考え出された構造形式のア-チを、立体に構成してド-ムが造られた。
建物名       場所       スパン長   竣工年
アトレウスの宝庫  ギリシャ・ミケナイ  146m  紀元前14世紀
パルテオン      イタリア・ロ-マ   43m   124年

◎鉄筋コンクリ-ト造
圧縮に強いコンクリ-トと引張に強い鉄を組み合わせた合理的な構造形式で、自由な形態を造るのに適している。

キングド-ム    アメリカ・シアトル 202m 1976年
(2000年解体)

◎鉄骨造
鉄はコンクリ-トよりも圧縮の引張に対応して強い材料であり、同じ大きさの空間を構成する場合、鉄骨造は鉄筋コンクリ-トよりも軽い建物を造ることができる最も使用頻度の高い構造形式と言える。
ス-パ-ド-ム アメリカ・ニュ-オリンズ 207m 1975年
福岡ド-ム   福岡県福岡市       212m 1993年
ナゴヤド-ム  愛知県名古屋市      187m 1997年
大阪ド-ム   大阪府大阪市       167m 1997年
札幌ド-ム   北海道札幌市       218m 2001年
大分県スポ-ツ公園総合競技場 大分県大分市  274m 2001年

◎空気膜構造
常に室内の空気圧を外気圧より高めておき、(東京ド-ムは0.3%)その内圧差によって屋根を支持する構造形式である。屋根に使用されている膜材は太陽光を通りやすく、明るい内部空間を実現できる。
メトロド-ム アメリカ・ミネアボリス 215×180m 1982年
東京ド-年
屋根は水平投影面28,592㎡の大きさを持つ超楕円形で、2方向に配置された
補強ケ-ブルの間に、テフロンをコ-ティングしたガラス繊維布から

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