駐車場その2 保護、露出そして薄膜の苦悩

駐車場床の防水層と保護層には、昔からアスファルト防水のコンクリ-ト押えやアスファルトコンクリート仕上げがあるが、10数年前から軽量、コスト低減、工期短縮、納まりが簡単、メンテナンスが容易などの点からデッキプレ-ト上のコンクリ-トに露出防水を施工することが多くなってきた。
駐車場床の露出工法のパイオニア的存在は、1980年代後半に登場した輸入品ウレタン工法であった。(他社品)
ここで屋上駐車場の防水を露出防水にした場合のメリットを改めて紹介しておくが、露出防水にすることで頭を軽くするメリットは勿論のこと、単に重量の問題だけではなく、頭が軽くなれば柱を細くできたり柱の間隔を空けたりすることができ、駐車スペ-ス、売り場空間にも影響する大切なことを改善することが出来るのである。つまり、より空間を有効利用できるようになるのである。
工事費全体が厳しくなった昨今では、なおのことだが、異常なまでに柱間が長いために、建物がたわみやすくなったり、デッキプレ-ト上のコンクリ-トの厚み(最低120mmは必要)が薄くなったりして、防水施工の前にクラック処理が大変な現場も増えている。
また、露出工法はメンテナンスが容易なことも大切な特徴であり、押え工法では不具合個所を発見したりして、メンテナンスが大変なことであろう。

昭和40年前半、一般用途でのウレタン防水は、専門業者による施工ではなかった。
施工を簡単にするために、ウレタンに溶剤を多量に入れたり、薄塗りしたりして、クレ-ムを連発し、信用をなくした時代があった。
年配者にウレタンアレルギ-がある人が時々いるのは、この時代を経験しているためであろう。
そんな逆境もその後、各メ-カ-、施工店による努力で、材料の品質と施工技術が数段向上し、信用回復することができた。
一般防水では、ウレタン防水は3kg/㎡程度施工されていれば、2mm以上の厚みがあるため、防水上は問題ないと言える。
仕様、材質の違いはあっても、駐車場露出防水床の場合、総厚みは5m/m前後であるため、仕様通りの塗布量を確保するのが耐久性確保にとって大切なことである。
ウレタン防水は弾性があるので、下地の動きなどに追従することは得意である。

しかし、外部からの衝撃などには、航空機、船舶、遊戯施設、戸建住宅などに使用されている軽量・高強度のFRP防水の方が優れていたため、ウレタン防水層とFRP防水層によるダブル防水工法を駐車場工法として採用したのである。

FRP防水の場合は、ガラスマットの厚みにより樹脂の使用量が決定するので、塗布防水の中では一定の樹脂量を確保できるというメリットがある。
樹脂が多すぎても少なすぎても、脱泡(空気を専用工具で抜き、ガラスマットと樹脂を一体化させる)という施工がうまくできないのである。
これにより、爆発的なヒット商品が確立し、駐車場に限らず一般屋上でも使用されることとなった。

さらに、ダイフレックスではウレタン防水の上にFRP防水を組み合わせながらも、どうにかウレタンでFRPのような高強度の駐車場工法が作れないかと考えていた。ウレタン+FRPには強靭と言うメリット共に、2つの異なる材料を複合させるために、ウレタン層とFRP層の間で剥離しやすくなるというデメリットがあった。
弾性のあるウレタンと非常に硬いFRPは、一般屋上ならまだしも、いじめに遭ってばかりの駐車場の床で使用するには一筋縄ではいかないのである。
剥離しないように様々な技術が駆使されて常に新しい開発を試みてはいるが、100%解決されることは難しい。
そこで、ある程度硬い物性を出すことの出来るウレタンで替わりは出来ないだろうか、そう考えて生まれたのがウレタン吹付けによる機械施工である。材料自体もクオリティの高いものであるが、何よりも、前述したように施工業者のある意味手抜き施工を機械で塗出量を一定にすることで手抜きすることができなくなったのが、大変大きなメリットであった。
屋根や開放廊下など、硬化が数分のウレタン吹付け機械施工の場合、目視で塗布量の確認が困難だったり、風で材料が飛散したりして、仕様通りの塗布量が確保できない場合もあった。これらは飛散対策アイテムや施工技術のマイスタ-制度導入などにより、ほぼ解決したが、駐車場工法の場合は、前述のような過酷な条件下で使用されるため、現在でも材料開発や施工技術開発を続けている。

つまり、FRP防水に代わる耐久性を持つウレタン樹脂の開発に着手したのである。現在では、無溶剤超速硬化ウレタンの硬化時間を少し遅らせ、専用骨材とのグリップ力を向上させたり、施工中の防水層の幕厚を穴を開けるなどの外傷を与えず品質を破壊することなく確認できるシステムと飛散防止施工アイテムを採用した。これにより、薄膜でも耐久性の確保が可能になったのである。

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