目覚めの時 ~再スタート~

苦境に陥った大和高分子工業がいよいよリスタートする時が来た。
昭和42年の春まだ浅い日のことである。
かねて大和インキ(三浦の父親の会社)が顔料などを買い入れていた大日精化工業から業務提携の話が持ち込まれたのだ。
大日精化工業のエポキシ部門と大和高分子工業のそれとを合併し、その後の事業を継承してほしいとの申し入れであった。大日精化工業からは役員と応分の資本を投入するという。

この話を応諾することに腹を決めた三浦が、まずクリアしなければならなかったのは、父をはじめとする社員たちの承諾を得ることであった。
社内は、思わしからぬ経営状態、そして経営主宰者である父が病床にあることで苦境に置かれていたこともあり、反対多数であったが、三浦は諦めなかった。
失敗を恐れぬわけではないが、大和高分子工業にとって再起のチャンスである。
断念するわけにはいかない。
三浦は、自分の胸中を吐露し、根気良く信念を訴え続けた。
そうした三浦の熱意はしだいに社内に浸透していった。
社内全員の納得を取り付けた三浦は、いよいよ大日精化工業との提携に踏み切ったのである。時に昭和42年5月のことであった。

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