屋根に芝草を植えて防水する その2

屋根に芝草を植えて防水する・・・。こんな突飛なことをしたのが20世紀の建築の巨匠ル・コルビジェである。
有名なフランス北部の丘の上にあるロンシャン協会の修道僧達の宿舎の屋根には芝草がたくさん生えて屋根が「みどり」になっている。
建築家の藤森昭信教授の設計による「ニラハウス」は日本の作家赤瀬川源平の家で、屋根はニラがびっしり生えている。手作りの茶室と屋根のニラ、折板構造の屋根にスノコ状にベイマツを敷き、板に穴をあけてニラの鉢を全部で1000株はめ込んである。

「タンポポハウス」もシリーズの一つである。教授は屋根の緑化について、コルビュジェの屋上庭園やツタに覆われた住宅まで様々な実例を見てきた。自然と人工が共生するなんて嘘っぱちで、両者の幸せな関係は「寄生」であるという結論に達した。

その理由は「大自然に寄生する人工は美しいし、人工物に寄生する自然も美しい。だから、都市の建物を造るとき、自然を関係させようと思うなら、屋上庭園のような上下関係は良くない。寄生させるのが正解である」という。そうした経験と思索から、屋上庭園はダメで、壁面の緑化こそが正しい道と結論付け、その延長線上で超高層ビルのタンポポ仕上げというものを提案するにいたったのだ。
これならコルビュジェのような屋上庭園を越えることができると・・。
ところが、考えに考え抜いて作ったタンポポハウスだったのだが、結果は思うようにはいかなかった。建物と緑はなかなか一体化してくれない。

当初、モダニズムの“Glass House”への対抗心から“Grass House”と名付けられたが、「タンポポハウス」と呼ばれ、こっちのほうが定着してしまったのである。  三つ目の作品一本松ハウスは、福岡市の住宅地にあり屋根の形状はピラミッド型でその頭部を草類でカバーし頂点に木を植えた。これまでは、ニラ、タンポポと草から木にしたのはピラミッドの傾斜が50度の急傾斜で尖っており、壁からとんがり屋根へと上昇していく勢いを頂部で受け止め、締めくくりには草では役不足で、どうしても木のようなシンボリックな緑が必要になる。一本松はチョンマゲのような形状で見る人が喜ぶ。屋根には銅板を初めて使い、数年して緑青が吹くようになると一本松の緑がしたたって屋根を染めているように見えるに違いない。

日本には四季があって気候が変化し植物が茂ったり枯れたりする。鳥や獣もそれに合わせて餌を啄ばんだり冬眠したりする。建築物を構成する素材は、高温の夏や低温の冬にも一定の性能を維持していかないとならないから、素材を人工的に性能を管理することになる。草木を植えた屋上や壁面はまさに共生ではなく、むしろ寄生という状態である。人間が住む室内を快適に長年にわたって保つには、防水の素材が重要なファクターといえるだろう。

(参考文献:藤森研究室ホームページ)

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