安心の追求:その2 『スポーツ床への普及』

ウレタンという材料を愛したダイフレックスが社会に大きく貢献することとなったDD防水工法。
弾力性がありつつも防水性能を有した『エバーコート』という材料を使用し、今では屋上防水のスタンダードタイプとなっているが、かつては体育施設用のウレタン防水材のブランド名が『エバーコート』であった。
適度な弾性と強靭性を持つ『エバーコート』は運動施設に最適で、いわばスポーツ床として万能であった。

『エバーコート』が誕生したのは昭和48年、第一次オイルショックの年。日本の首都、東京もまた高度経済成長の産物と言えるオイルショックの影響を受け、大混乱が起こった。
そんな時代であった。
東京には多くの人が集まり、そこで産業をはぐくみ、そこに大きな都市ができて高層建築が生まれた。
都民を守るために行政もまた多くのサービスを行ってきた。その時代背景が顕著に現れている建物のひとつ、それが都心の学校であろう。

都心の学校では敷地が狭く、校舎の屋上を運動施設として利用するため、この防水性能を有する弾性舗装材『エバーコート』の活躍は目を見張るものであった。
学校のみならず、ビルの屋上のテニスコートも全部『エバーコート』。屋上の有効利用を提案したのもダイフレックスであった。

当初は実験的ともいうべきいろいろな現場があった。
体育館のフローリング床の上に『エバーコート』!?
現在では考えられないような無理のある施工であるが、それほどに『エバーコート』の弾性と強靭性が認められ、評判が良かったのである。
その後、昭和60年頃、体育施設用弾性舗装材は『ニューファインコート』と名前を変え、日本中のテニスコートで数多く採用され、上級者用(球足が速い)のテニスコートとして高い評価を受けた。

余談ではあるが、表面の仕上げ(サーフェイス)や弾力度合いによってボールの跳ね返りやスピードに違いが出てくるため、フルウレタンのテニスコートは前述のとおり柔らかいのに『ハードコート』に分類されるのである。
『ニューファインコート』で仕上げたテニスコートは、足腰に優しい柔らかい感触でありながら、ハードコートの球足も楽しめるという、週末テニスプレイヤーに嬉しいコート環境なのである。

スポーツ床として好評を得ていた反面、他の防水材と同様に密着工法ではふくれの問題が常にあり、改善がもとめられていた。
『ニューファインコート』が誕生したころと時を同じくしてオランダ『ボリット』社よりゴムチップウレタンの技術を導入し、この問題を解決したのである。
ゴムチップウレタン舗装とは、廃タイヤを粉砕した黒ゴムチップ(3~5mm)をウレタン樹脂と混合し、専用施工機で施工したもので、厚みが8mm~10mmあり、クッション性と適度な空隙があるふくれない全天候舗装材を作ることが可能になった。
(後にダイフレックスの主力商品となるDD工法と考え方の発端はここにある。)

ゴムチップウレタンのスポーツ舗装は透水型(水溜りができない)にでき、管理も簡単なため数多く採用された。
厚みを確保できる上にコストが低く押えられるため陸上競技場などの大きな面積での採用も増えてきたのである。
(陸上競技場のトラックは、約13mmの厚みのウレタンで10,000㎡近くも施工する。)

現在でも、大多数の陸上競技場のトラックはウレタンである。ウレタンの人気と可能性は計り知れない。

【参考文献】
『屋外体育施設の建設指針 各種スポーツ施設の設計・施工 平成11年度改訂版』
財団法人日本体育施設協会 屋外体育施設部会

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