金属屋根と防水

金属屋根は瓦葺屋根などに比べ軽量且つコストが安く、商業施設や事務所建築などに多く使用され、また、瓦に比べ凍害による故障がないため多雪地域などでよく用いられている。

昔は波トタンを葺いただけのものであったが、現在は戸建住宅などに用いる「瓦棒葺き」、比較的大きな建物に用いる「折板葺き」、急勾配屋根や意匠的に用いる居住建物に多い「平葺き」など、様々な形状のものが存在している。
材質も多様で、ごく一般的な「亜鉛鋼鈑」から耐久性能を持たせた「ガルバリウム鋼鈑」や「ステンレス鋼鈑」、和風建築や寺社仏閣には「銅鈑」などがある。
これらはその材質が金属であること、用いられる建物の屋根形状が勾配のあるものであり、塗装などによる意匠の設えはあるものの、防水を施すことは一般的ではない。

しかし、どの形状のものでも屋根一つを一枚の鋼鈑で作ることは不可能であり、分割したパーツで作られるため、必ず『かしめ』と呼ばれる接合ジョイントが出来てしまう。
この『かしめ』が曲者で、四季の温度変化による鋼鈑の膨張収縮や積雪地であれば雪の重みなどによりたわみが発生し、『かしめ』部分で口が開いて、そこからの漏水事故が多く発生している。この『かしめ』はジョイントの端部を重ね合わせ折り曲げるだけのものであることから、毛細管現象などにより漏水を発生しやすい状況にある。

ジョイント部分以外の部位は、塗装などにより発錆から保護され、腐食による破損からの漏水を防ぐことは可能である。
一昔前のトタン屋根などは、コールタールを塗って防水防錆効果を持たせていた。
現在は塗料の技術も進み高い効果の塗料も開発されているが、防水材のように接着面の動きによく追従し、『かしめ』ジョイントでの破断を防ぐ機能は有していない。そこに防水性の塗材の必要性が出てくるのである。

ウレタン防水材は、その高い伸長性能と仕上がりのシームレス化によって、金属屋根の保護防水材として最適な材料といえる。
だが、これまで世の中にその機能が認知されることはなかった。それはなぜか。
施工場所となる金属屋根自体に勾配があり、品質を確保した施工が不可能であったからである。

従来ウレタン防水材は、施工後流動性を持って硬化するまでに平らになろうとするセルフレベリング性を持ったものであった。完全硬化まで約24時間程度(季節要因によりこの限りではない)は必要であり、この間に高いところより低いところへ向かって流動するため、均一な膜厚を確保できず、その性能を発揮する施工が不可能であった。それ故に、金属屋根面への防水施工が一般的にはならなかったのである。
しかし、ウレタン防水材も進化を遂げ、近年(1985年頃~)超速硬化ウレタンという物が開発されて、自体は一変した。
超速硬化ウレタンは、専用の機械を使用し吹き付けにて施工されるもので、対象物に着床した後数十秒で硬化することから、勾配の部位にも流れてしまうことなく膜厚を確保することが可能な物性を有している。従来のセルフレベリング性をもったウレタンに比べ、破断に耐える物性も向上しており、且つウレタンの持つ柔軟性により高い伸張性をもつウレタン防水材である。
この超速硬化ウレタンの登場により、金属屋根面への防水施工が可能となったのである。
金属屋根面へのウレタン防水は、単に防水としての機能だけでなく、クッション材として雨音の軽減や遮熱塗料と組み合わせて鋼鈑の蓄熱を抑制し省エネにも役立つ。
また、塗装と違い膜の厚みがあり耐久性に優れるため、塗装替えの周期を長くとる事が出来、大変経済的である。

【参考文献】
これだけは知っておきたい 防水工事の知識
伊藤健二・岩井孝次 共著
鹿島出版会

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